総領事便り
令和5年12月20日
総領事便り 3
~当地の日本語教育を支えていく必要性について~
令和5年(2023年)12月20日
在サンフランシスコ日本国総領事
大隅 洋
在サンフランシスコ日本国総領事
大隅 洋

(クラレンドンー小学校Facebookより)
サンフランシスコ市内、クリスマス・ツリーや飾りも賑やかで、今年も残すところあと僅かになりました。先日の日曜日はサンタ・コンフェレンスということで、大勢のサンタが街中を歩いていましたね。
さて、この便りは、皆さんと日々コミュニケーションを取るのが難しい状況で、私が総領事として活動する中で皆さんにもお伝えしておきたいことを書かせていただき、その一助とさせていただきたいと思っています。
さて、この便りは、皆さんと日々コミュニケーションを取るのが難しい状況で、私が総領事として活動する中で皆さんにもお伝えしておきたいことを書かせていただき、その一助とさせていただきたいと思っています。


12月14日に、市内のクラレンドン小学校のJBBP(Japanese Bilingual and Bicultural Program)50周年記念のGakugeikaiに妻とともに出席し、スピーチをさせていただきました。「多様性と包摂性」を尊ぶサンフランシスコ市及びカルフォルニア州では移民も多いこともあり、外国語教育が盛んです。市内では二つの小学校、一つの中学校、三つの高等学校において、日本語教育が行われています。そのうちローザ・パークス小学校のJBBP50周年ガラの様子については総領事だより 1でお伝えしたとおりですが、今回はクラレンドン小学校の方の50周年で、こちらは学芸会ということで、在校生が太鼓演奏や合唱をしていました。50周年の年輪の中で培われてきた太鼓の文化、そして太鼓の数の多さが印象的でしたし、合唱は色々な背景の子供達がアイヌ神謡からYOASOBIまでと幅広いレパートリーを日本語でしかも踊り付きで歌ってくれており、とても感銘を受けました。
ローザ・パークス小学校が、サンフランシスコ日本町のすぐそばに所在するということもあり、生徒のバックグラウンドは多様ながらも、ラジオ体操などより「日本的」な要素が強いのに対し、クラレンドン小学校は、「Bicultural」の要素がより強く出ており、「日本体験」をしてもらうことを授業に取り組んでいる印象を持ちました。体育館(少し昭和っぽくて懐かしさを感じました)にはパイプ椅子が所狭しと並べてあり、歴代の親御さんと学校が一体となって支えてきたという熱気と家族的な暖かさをいっぱいに感じました。この多様性とそれを支えるコミュニティの力というのは、私の住んだNY等の米国東海岸を含め見ることはできないのではないか、と感慨を覚えた次第です。
今回、総領事感謝状という形で顕彰させていただいたのも、ささやかではありますが、総領事館としても末永いプログラムの発展を願いたいという気持ちからです。
日本語の語学としての人気は、バブル崩壊までは主に経済的な関心が支えていたのだと思います。日本語の人気は一定程度保たれており、語学としての人気はヨーロッパ言語以上だということです。これは、日本のソフトパワー特に漫画やアニメの好影響が大きく、また、最近の日本食ブームやインバウンドの爆発的人気にも依っているかと思います。
しかしながら、ベイ・エリア全体において、日本語教育をしている学校がそれを縮小・閉鎖する動きが散見されます。財政難の郡や市だけでなく、比較的裕福な場所でもそれは起こっています。
「人間は言語という記号を使い、世界に区切りをつけることにより世界を認識する」とはスイスの言語学者ソシュールの言です。日本語というものには日本人の世界観が内包されており、日本の文化~世界に貢献する豊かさをもつものと確信していますが~を理解してもらう最有力の手段の一つです。したがって、日本語の教育というものを推進しあるいは維持することは、我々を知ってもらい、我々の祖先が創り上げてきた良さを共有してもらう上でとても大事だと思います。
それが故に、総領事館としても、関係者に日本語教育を存続することの働きかけを日々続けています。
ただ、コミュニティの問題は、最終的にはコミュニティで決められます。クラレンドン小学校で拝見したのは、JBBPを護ってきた保護者やプログラム経験者の圧倒的な熱気でした。それぞれのコミュニティに住まれる日本人、日系人の方、そして何らかの形で日本と縁がある方々に声をあげていただくことがとても重要であり、総領事館としては、皆様一人一人、あるいは関係諸団体の方々と協力して、そのような声を支えていきたいと考えています。
今年9月末に着任しましたが、新参者の私を色々な形で支えていただきありがとうございました。さらに精進していきたいと思いますので、来年もよろしくお願いいたします。
それでは良いお年をお迎えください。
ローザ・パークス小学校が、サンフランシスコ日本町のすぐそばに所在するということもあり、生徒のバックグラウンドは多様ながらも、ラジオ体操などより「日本的」な要素が強いのに対し、クラレンドン小学校は、「Bicultural」の要素がより強く出ており、「日本体験」をしてもらうことを授業に取り組んでいる印象を持ちました。体育館(少し昭和っぽくて懐かしさを感じました)にはパイプ椅子が所狭しと並べてあり、歴代の親御さんと学校が一体となって支えてきたという熱気と家族的な暖かさをいっぱいに感じました。この多様性とそれを支えるコミュニティの力というのは、私の住んだNY等の米国東海岸を含め見ることはできないのではないか、と感慨を覚えた次第です。
今回、総領事感謝状という形で顕彰させていただいたのも、ささやかではありますが、総領事館としても末永いプログラムの発展を願いたいという気持ちからです。
日本語の語学としての人気は、バブル崩壊までは主に経済的な関心が支えていたのだと思います。日本語の人気は一定程度保たれており、語学としての人気はヨーロッパ言語以上だということです。これは、日本のソフトパワー特に漫画やアニメの好影響が大きく、また、最近の日本食ブームやインバウンドの爆発的人気にも依っているかと思います。
しかしながら、ベイ・エリア全体において、日本語教育をしている学校がそれを縮小・閉鎖する動きが散見されます。財政難の郡や市だけでなく、比較的裕福な場所でもそれは起こっています。
「人間は言語という記号を使い、世界に区切りをつけることにより世界を認識する」とはスイスの言語学者ソシュールの言です。日本語というものには日本人の世界観が内包されており、日本の文化~世界に貢献する豊かさをもつものと確信していますが~を理解してもらう最有力の手段の一つです。したがって、日本語の教育というものを推進しあるいは維持することは、我々を知ってもらい、我々の祖先が創り上げてきた良さを共有してもらう上でとても大事だと思います。
それが故に、総領事館としても、関係者に日本語教育を存続することの働きかけを日々続けています。
ただ、コミュニティの問題は、最終的にはコミュニティで決められます。クラレンドン小学校で拝見したのは、JBBPを護ってきた保護者やプログラム経験者の圧倒的な熱気でした。それぞれのコミュニティに住まれる日本人、日系人の方、そして何らかの形で日本と縁がある方々に声をあげていただくことがとても重要であり、総領事館としては、皆様一人一人、あるいは関係諸団体の方々と協力して、そのような声を支えていきたいと考えています。
今年9月末に着任しましたが、新参者の私を色々な形で支えていただきありがとうございました。さらに精進していきたいと思いますので、来年もよろしくお願いいたします。
それでは良いお年をお迎えください。
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