総領事便り
令和7年3月24日

総領事便り19
~佐々木麟太郎君選手に期待する~
~佐々木麟太郎君選手に期待する~
令和7年 (2025年) 3月24日
在サンフランシスコ日本国総領事
大隅 洋
在サンフランシスコ日本国総領事
大隅 洋
2月末にスタンフォード大学の野球場に佐々木麟太郎選手が出場する試合を家族で観に行きました。昨24年3月に岩手県の花巻東高校を卒業、9月からスタンフォード大学に入学し、今年2月中旬から始まった大学リーグ戦でもスタメン出場しています。構内放送では打順が回ってくる各選手のテーマソングが流れてくるのですが、「3番ファースト、リンタロウ・ササキ!」と場内アナウンスされると、少しレトロな日本語の歌謡曲がカルフォルニアの青空に響き渡ります。豪快にバットを振る麟太郎選手に相手投手は少し気押され気味で四球二つの他は3打数2安打の活躍でした。お父様の佐々木洋花巻東高野球部監督、そして見学に来ていた23年のワールドベースボールクラシックで日本チームを感動の優勝に導いた栗山英樹氏にもお会いしました。
ロザンゼルス・エンジェルズの菊池雄星選手、ドジャーズの大谷翔平選手、そして佐々木麟太郎選手は皆花巻東高校出身です。2年ほど前に家族で東北旅行したときに、東北新幹線新花巻駅で降りると、夕暮れの駅構内に菊池雄星選手と大谷翔平選手の展示コーナーがありびっくりした覚えがあります。そして夜空の美しかったこと。宮澤賢治童話村の頭上には「銀河鉄道の夜」の世界が拡がっており、銀河鉄道に乗って宇宙を旅できるような気持ちになりました。柳田國男の書した伝承などの説話集「遠野物語」の舞台も遠くありません。野球が渡来して150年経って、このような美しい日本の原風景を残すところから世界に雄飛する野球選手が彗星の如く出現したことに感動しますし、佐々木監督の「育てる力」にも興味が湧くところです。
さて、球場でお会いした栗山氏はとても腰が低い方でこちらの方が恐縮しましたが、「麟太郎は30年後の日本のスポーツを背負って立つ子なので色々と教えてあげてください」とのことでした。佐々木監督もまた謙虚な方でしたが、子供に夢を持たせ、その実現のためブレイクダウンした計画を具体的に書き出させ、実行させ子供を成長させる。そのための環境を大人は全力で整える、という立派な教育哲学をお持ちでした。
そして麟太郎選手には人が成長するのに重要な素直さと、視点の高さ、視野の広さを感じました。野球人生、そしてそれを超えた長い人生をしっかり考え、スタンフォード大学で学べる恵沢を全身で受け止め充実した学生生活を送っているようでした。佐々木監督によれば麟太郎選手の名前は幕末の偉人勝麟太郎(勝海舟)から採ったとのことでしたが、その勝海舟は1860年に咸臨丸に乗船してサンフランシスコに来訪しているところ、ご家族で、サンフランシスコ湾入り口にある咸臨丸入港100年記念碑(総領事だより16)を訪れたそうです。
私から麟太郎選手には、「学業に野球に忙しいと思うのでお呼び立てするつもりはないが、将来のリーダーとして公のためにも貢献してほしい。この地で現代の日本人が不都合なく暮らせているのは先人のお陰であり、特に日系米国人が苦闘しつつその地位を築き上げたところに依っているところが大きい。何かの縁でこの地に住むことになったのだから、日系人のゆかりの地を訪ねてほしいし、それを積極的に発信して模範となってほしい。」とお願いしました。麟太郎選手は快諾してくれました。
麟太郎選手を始め当地には少なからずの日本から若者が留学してきています。現役世代の責任として次世代の成長を支援していくことの必要性については皆さんからの幅広い共感を感じます。総領事館としてもその一翼を担うべく、日本から短期で訪問する中高生へ話をすることなど積極的に取り組んでいます。また、当地の学校での日本語教育クラスの支援も同様の意気で取り組んでいるところです。
最後に、麟太郎選手の佐々木家の出身地岩手県北上市とカルフォルニアの縁の話を少々。サンフランシスコ市対岸のバークレー市から少し奥に入ったところにあるコンコード市と北上市とは姉妹都市関係にあります。姉妹都市提携50周年となった昨年の10月には八重樫北上市長を団長とした訪問団が来訪し、市長を含め全員が近隣市町村の米国人家庭にホームスティしつつ交流を深めました。私も記念ディナーに出席し、コンコード市側で献身的に活動してきたボランティア団体コンコード・アンバサダーに総領事表彰を授与しました。その際のスピーチでコンコード市長などみなさんに、「スタンフォード大学に北上市出身のリンタロウ・ササキという野球選手がいます。高校時代3年間に打ったホームラン140本というのはショウヘイ・オオタニよりも多い日本記録で、将来アメリカでもとても有名になると思います。北上市とコンコード市の姉妹都市連携に花を添えてくれそうですね」という趣旨のお話をしたところです。
最後に、麟太郎選手の佐々木家の出身地岩手県北上市とカルフォルニアの縁の話を少々。サンフランシスコ市対岸のバークレー市から少し奥に入ったところにあるコンコード市と北上市とは姉妹都市関係にあります。姉妹都市提携50周年となった昨年の10月には八重樫北上市長を団長とした訪問団が来訪し、市長を含め全員が近隣市町村の米国人家庭にホームスティしつつ交流を深めました。私も記念ディナーに出席し、コンコード市側で献身的に活動してきたボランティア団体コンコード・アンバサダーに総領事表彰を授与しました。その際のスピーチでコンコード市長などみなさんに、「スタンフォード大学に北上市出身のリンタロウ・ササキという野球選手がいます。高校時代3年間に打ったホームラン140本というのはショウヘイ・オオタニよりも多い日本記録で、将来アメリカでもとても有名になると思います。北上市とコンコード市の姉妹都市連携に花を添えてくれそうですね」という趣旨のお話をしたところです。
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