総領事便り
令和6年8月23日
総領事便り12
~クパチーノ高校の生徒の熱い思いをご紹介します~
~クパチーノ高校の生徒の熱い思いをご紹介します~
令和6年 (2024年) 8月23日
在サンフランシスコ日本国総領事
大隅 洋
在サンフランシスコ日本国総領事
大隅 洋
- 「この日本語プログラムは自分の高校生活の軸になっています。これが失われると、自分達のコミュニティも無くなってしまいます」
- 「全米ジャパンボウルで優秀な成績を収めて日本に行くことができました。訪日経験はとても楽しかったし、高校を卒業しても日本語を学び、日本にまた戻りたいと思っています」
総領事便りのその3のみならず累次お伝えしているように、全米で日本語教育実施機関数や学習者数が減少傾向にあります。カリフォルニア州の小中高校126校では日本語クラスが提供されていますが、サンフランシスコ市のように常時財政状況が良くないところでのみならず、シリコンバレーの裕福な地域にあるクパチーノ高校のような全米日本語選手権たるジャパン・ボウルの上位入賞常連校の日本語クラスも段階的に閉鎖されようとしています。
これには色々な背景がありますが、日本語希望者が特別にということではなく、端的に言えば履修希望者の減少で、シリコンバレーでは住宅価格高騰の影響で転出者が多くなり人口が減り地域全体の子ども数が減っているということが背景にあるようです。また外国語は必修という訳ではなく多様な選択科目との競争が激しくなっているようです。
総領事館は、当地日本語教師、商工会、姉妹都市協会関係者などとともにラウンドテーブルを開催して、この問題への対応を検討してきました。8月7日のラウンドテーブルでは初めて参加した地元高校生たちの生の声を直接聴いたのですが、日本語への愛、日本語クラスが無くなることへの危機感、再考を願う署名活動、そして教育委員会への働きかけの計画など、成熟した考え方や行動はアッパレ!で感銘を受けるとともに、大人としてスッと背筋が伸びる体験でした。
ラウンドテーブルとしては、日本語教育クラスの維持(そして拡大)に向け、コミュニティ主導で活動していくこと、関心を持つ全ての人達に参加をお願いする包摂的なプロセスというビジョンを共有し、現役生による署名活動の促進の支援、「日本に触れて」もらい日本語クラスに関心を持つ小中学生を増やすためのイベントの選定、高校生に対して将来に向けてキャリアの可能性を示すという観点から日系企業による日本語クラス履修生を対象とした企業訪問・説明会の開催など具体的な行動を取っていくことを申し合わせた次第です。
署名については8月7日のラウンドテーブルの際には500弱だったものが今は1000近くまで来ています。生徒さんたちの目標は2500です。それにしても、高校生って行動力ありますね。彼らを支援してあげたいなと思った方は是非「Bring Back Japanese at Cupertino High School」 と検索してみてくださいね。
本年4月の日米共同声明では、「我々は、長期的な関係を発展させる上での、特に対面による語学学習の重要性を認識し、」という下りがあります。今時の日本語履修者は今まで家族など日本に全く関係が無かったのをアニメなどを通じて日本ファンとなっている人が多く、ある意味で岩盤のfriends of Japanですので、このような人達を育ててくれる日本語クラスの維持は総領事館にとっても重要ですし、関係者皆がそう思っていると思います。
皆さんにおかれてもこの事に関心を持っていただき、できることから貢献していただければ生徒達も大変喜ぶでしょうし、日本の将来のためにも小さい、重要な一歩かと思います。
皆さんにおかれてもこの事に関心を持っていただき、できることから貢献していただければ生徒達も大変喜ぶでしょうし、日本の将来のためにも小さい、重要な一歩かと思います。